【Side‥冬夜】 「お前って、笑わない奴なのかと思ってたよ」 一瞬だけ笑顔を見せていた柚葉は、ふと漏らしてしまった俺の言葉に眉を寄せ、視線を寄越した。 「……あっそ」 それからすぐに顔を背けた彼女の口から、ぶっきらぼうな言葉が落ちた。 「てか、いい加減に帰りたいんだけど」 ついさっきまで空に浮かんでいた月は、いつの間にか姿を消してしまっている。 「そうだな」 俺は、少しだけ寂しさを抱きながら頷いた。 そして、太陽と雲だけになった空を何度も見上げながら、柚葉と一緒に車に戻った。