【Side‥冬夜】 就業時間が過ぎたオフィスで雑務に追われていた俺のデスクに、不意にコーヒーの入ったカップが置かれた。 「何が欲しい?」 「は?」 見上げた先にいた兄貴に首を傾げ、カップに手を伸ばす。 「誕生日プレゼントだよ。明日だろ、誕生日」 返って来た言葉に真っ先に浮かんだのは、柚葉の顔だった。 「お前の企画も本格的に進める事になったし、誕生日とのダブルで祝ってやるよ」 俺はそれを掻き消すように苦笑して、コーヒーを飲んだ。 「……遠慮しとくよ。別に欲しい物なんてないからさ」