【Side‥柚葉】 引っ越しから1ヶ月以上が経った2月下旬、冬が役目を果たしたかのように終わりを迎えようとしていた。 あたしは、やっと新しいワンルームのアパートで生活する事にも慣れ、バイトとホスピスに通う日々を送っている。 「これ、着替えね」 そう言いながら棚に片付けると、母が息を小さく吐いた。 「悪いわね、いつも……」 ホスピスに移ってからの母は、いつだって穏やかで… 今までそんな姿を見た事が無かったから、未だに驚きと戸惑いを隠せなくて、いつだってどうすればいいのかわからなかった。