【Side‥冬夜】 夜の街を見下ろすには、少しだけ高さの足りないビルの一室。 その窓際でぼんやりと外を眺めていると、近付いていた足音が後ろで止まった。 「何だ、兄貴か……」 「お前、まだ残ってたのか」 俺の隣に立った兄貴が、呆れたような顔をしている。 「あぁ。でも、もう帰るよ」 「企画でも考えてたのか?」 「あれだけの雑務に追われてたら、企画どころじゃねぇよ。わかってるくせに、いちいちそんな事訊くなよ」 ため息混じりに返すと、兄貴はどこか楽しそうに喉の奥でクッと笑った。