群青の月

「で、でも……」


僅かに首を横に振るあたしを見て、看護師が小さく頷く。


「……えぇ。ご本人も、『あの子は例え事情を知っても来るはずがない』っておっしゃってましたよ」


その言葉に目を見開く事しか出来なかったのは、看護師が“あたし達の事”を知っているような口振りだったから…。


そして、本当にそうなんだって事も、何となくすぐにわかってしまった。


だって…


「だから、どうしても無理ならこのまま帰って貰っても……」


看護師は控えめにそう言っただけで、決して無理強いをしたりはしなかったから…。