群青の月

「……おい、柚葉。ほら、着いたぞ」


いつの間にか眠っていたらしいあたしは、優しく呼び掛ける冬夜の声で目を覚ました。


あれからどれくらいの時間が経ったのか、わからない。


外は、すっかり明るくなっていた。


冬夜に車から降りるように促されて、渋々ドアを開けて外に出る。


周りを見渡すと、山奥じゃない事だけはわかったけど…


どうやら山奥にも負けないくらい、何も無い場所に連れて来られたみたい。


目の前に流れている川をぼんやりと見つめながら、ようやくここは河川敷なんだと認識した。