【Side‥柚葉】
冬夜を見送った後、あたしはしばらく玄関のドアを見つめたまま立ち尽くしていた。
唇に残るキスの余韻を確かめるように、そっと指を這わせる。
その瞬間、ひんやりとした指先が唇の余韻を奪うように、熱を掻き消してしまった。
キスなんて、自分からした事は無かった。
そんな事をするあたしは、何だか自分(アタシ)じゃないみたいで嫌だったし…
何よりも、やっぱり照れ臭かったから…。
だけど…
それでも、そんな気持ちを跳ね退けるようにキスをしたのは、これが最後だって決めていたから――…。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…