【Side‥柚葉】 降り続ける雨の音が響く。 どこまでも広がる濁った空のせいで、部屋の中はどんよりと薄暗かった。 「じゃあ、行って来るね」 「やっぱり送ろうか?雨、強くなって来たし……」 「ううん。今日は近いから平気」 「そっか」 返って来る言葉にはどこか抑揚が無くて、薄暗い廊下の空気が益々冷たく感じてしまう。 「じゃあ、気をつけて行けよ」 「冬夜も気をつけてね。後、これ返しとくから」 「悪いな」 眉を下げた冬夜に笑顔を返して、ゆっくりとドアを開けた。