「……柚ちゃん?」


遠慮がちに背後から名前を呼ばれたのは、店を出てすぐの事だった。


懐かしさを思い出させる声に振り返ると、視界に入った自信無さげな表情がパッと輝いた。


「やっぱり柚ちゃんだわ!」


「吉岡さん……」


「久しぶりね!」


「あ、うん……」


「最近ちっとも会わないから、心配してたのよ」


嬉しそうに駆け寄って来た吉岡さんは、驚くあたしに構わず話を続ける。


「派遣、辞めちゃったの?おばさん、柚ちゃんに会えるのを楽しみに頑張ってたから、寂しくて……」