【Side‥柚葉】



秋の空気が運んで来た冷たい風が体を包んで、空に広がる闇の深さを強調する。


さっきまで体中が熱を帯びていたのが嘘みたいに、体温が一気に下がるのがわかった。


発したい言葉はたくさんあるのに、どれも喉元で絡まったまま声にならない。


瞳に浮かんだ涙が今にも零れ落ちそうだったけど、ここで泣いてしまいたくなかった。


だから…


冬夜を睨み付ける事でそれを誤魔化すようにして、せめてこれ以上は涙が溢れて来ないように堪えていた。


重苦しい沈黙が続く中、黙ったままのあたしに代わって冬夜が口を開いた。