【Side‥冬夜】 近所の公園の金木犀が香り始めた頃、夜の空気が肌に凍(シ)みるようになっていた。 俺はその冷たさを味わいながら、ベランダでタバコを吸っていた。 すると、柚葉もタバコを咥えながら出て来た。 「……寒くないの?」 「別に平気だよ。俺、冬生まれだから、寒さには結構強い方だし」 煙を吐く俺の隣で、柚葉が小さく笑う。 「それ、関係あるの?」 「あるよ、たぶん」 「ある訳ないじゃん」 「じゃあ、訊くなよ」 わざとらしく眉を寄せて柚葉を見ると、彼女がまた笑った。