【Side‥冬夜】 「今日さ、一人で外に出たよ」 柚葉からそんな報告をされたのは、金木犀(キンモクセイ)が蕾を付け始めた9月下旬の事だった。 「え?」 ネクタイを外しながら驚く俺に、彼女が何食わぬ顔で続ける。 「まぁタバコが切れたから、すぐそこのコンビニに買いに行っただけなんだけどね」 「いつ?」 「昼過ぎくらい」 「……大丈夫だったのか?」 不安を抱く俺に反して、柚葉が小さな笑みを浮かべて頷いた。 俺は微笑みを返して、何も言わずにただ彼女の頭を優しく撫でた。