俺を見ていた柚葉は、眉を寄せながらため息を落とした。


「……あたしにも一本ちょうだい」


まだ少しだけ掠れた声で言った彼女が、箱からタバコを取り出す。


柚葉が一口、二口と吸う間、俺は黙って彼女を見つめていた。


相変わらず、その横顔は本当に綺麗だと思う。


程なくして灰皿に押し付けられたタバコは、まだ少ししか減っていない。


柚葉は頭を抱えるように片手で髪をクシャッと掴んだ後、眉を寄せながら目を閉じた。


あまりにも長い沈黙のせいで、蝉の鳴き声がやけに耳に纏わり付く気がした。