視線を落とすと、手の中には俺の好きなチョコミントのアイス。


このアイスを嫌いだと言った柚葉が、俺の為にこれを選んだのだとわかるまでに、ほんの少しだけ時間を要した。


だけど…


ようやくその事を理解した時、胸の奥から言いようの無い喜びが込み上げて来る。


嬉しさに頬を緩ませた俺は、柚葉をチラリと見てからアイスの蓋を開けた。


溶け掛けたそれを木のスプーンで口に運ぶと、あっという間に溶けて無くなってしまう。


もちろん舌触りだって悪いのに、今まで食べたアイスの中で一番美味しく感じていたんだ。