群青の月

「おっ、ピッタリだな!」


微妙な気持ちのままリビングに戻ると、冬夜が満足そうに笑った。


「いいの?こんなの、あたしに着せて」


嫌味を込めて言ったあたしに、彼が曇(クモ)りの無い笑顔で頷く。


「もう着てくれる奴がいないからな」


そう言った冬夜が、少しだけ寂しさを含んだ微笑みを見せた。


怪訝な顔をしたあたしの心情を読んだのか、彼は自嘲気味に笑ってから小さなため息を漏らした。


「一応、彼女の為に買っておいたんだけどさ……。着て貰う前に別れたんだよ」


「……あっそ」