【Side‥柚葉】 ベランダのガラス扉の向こうに広がるのは、この街の夜景。 さっきから、後ろにいる冬夜が色々と言って来るけど… あたしは、そんな彼の言葉達を完全に無視していた。 いつもに増して漏れるため息は、憂鬱な気持ちの表れなのかもしれない。 早く立ち去りたいと心のどこかで思う反面、決して居心地が悪くない事もわかっていた。 冬夜が何の目的で、あたしを引き止めたのかはわからない。 三万円も払ってまであたしをここに置いておく価値があるのかどうかは、彼だけにしかわからない事だから――…。