群青の月

「帰るのはいいけど、俺は送ってやらないぞ?何か、アルコールが残ってるっぽいし」


「はぁ?さっきまで、普通に運転してたくせに」


深いため息と一緒に零された非難混じりの言葉に、苦笑してしまう。


咄嗟だったとは言え、我ながら言い訳にもならない言葉を吐いた事が、何だか無性に可笑しかった。


「だったら、別に送ってくれなくてもいいよ。その辺で、適当にタクシーでも拾えば済む話だし」


柚葉はバッグを持ち、俺を一瞥してから歩き出そうとしたけど…


俺はそれを制する為に、すかさず彼女の手首を掴んだ。