その日の夜は、 何度も窓の外を見た。 誰もいない寂しい公園を。 外に出てみても、ベンチで黒猫が眠っているだけで。 陸くんはいない。 ベンチに座っても黒猫は逃げないから、 「可愛いねえ」 なんて言いながら黒猫を撫でた。 そう。 別に、猫ちゃん触りにきただけだもん。 陸くんがいないとか、 そんなの関係ないし。