山本さんはそれだけ言うと、言葉を無くすあたしの横を颯爽とすり抜けて行った。 「ちょ、ちょっと……」 その後ろ姿に、やっと絞り出したあたしの声は、どこか頼り無くて。 このまま、孝太の気持ちは変わってしまうのではないかと不安になった。