泣き顔にサヨナラのキス



たったそれだけで、あたしの心は孝太に掴まれてしまう。

なんだか、ズルい。


「ね、続きを聞いてくれる?」

そう想っても、頭の上から落ちてくる孝太の声が心地好くて。

あたしは小さく頷いた。


「プロポーズは指輪を用意してから」

「うん」

「だから、安心して待ってて」

「う、うん」

……間違いじゃないよね?


でも、それって何時なの?待つって、どれぐらい?


「ホラ、また変な顔して」

孝太はクスクスと笑いながら、あたしを引き寄せた。