弓枝ちゃんは「だってぇ」と子供みたいに甘えた声を出した。 つまりは弓枝ちゃんに頼まれて、原口係長に渡すために電話番号を預かったって事? だから、梶間食堂で待ち合わせだったんだ。 「今、原口係長はフリーだから頑張って、弓枝ちゃん」 「自分で渡すの、恥ずかしいよぉ」 「もたもたしてると、彼女出来ちゃうよ。あの人モテるから」 孝太の言葉が効いたのか、闘志がみなぎったような表情になった弓枝ちゃん。 「わかった。次店に来たら渡せるように頑張る」 そう言って、厨房へと戻っていった。