桜が咲く1ヶ月ほど前、中学3年生の最後。

あたしの恋は空へと散った。





「優、早くー!電車行っちゃうよ」
「わかってるってば!!」
ー渡邊 優、15歳。
今日から花の高校生。

大親友・玲奈と一緒に登校中だが、初日早々寝坊。
「ドアが閉まります」
「あー!!」
パタン。
目の前でドアがしまってしまった。
優は座り込み、声にならない声を出す。
玲奈はそれを見てくすくすと笑っていた。

「何で笑ってんのよ、玲奈」
「ごめんごめん。優の焦ったところなんて、最近みなかったからさ。落ち込んでばかりで」
「んー、そおかなァ」


高校までの1ヶ月間、あたしは地獄のような日々を過ごした。

大好きな彼氏と別れたのだ。
思った以上に傷が深くて、今だに修復できていない。

もちろん、その彼氏は他の高校へ行ってしまったし、
もう連絡もしてこない。