コーチはそれを見て
あたしに言った。
「ばか!無理にやるなって!
お前は前からそうだ。
なんでも無理して
失敗して泣くんだもんな」
とあたしの失敗談を
笑いながら語るコーチを
軽くあしらった。
「そんなこと言わなくても!
それに、泣いてないです!」
「はぁ?
目に涙溜まってるけど?」
イタズラに笑うコーチ。
その笑顔があたしは苦手だ。
確かに思ったより痛くて
身体が硬くなった現実に
ちょっとだけ哀しかったけど、
そんな事じゃ泣かない。
「アクビです!!」
生理的に出た涙を
アクビのせいにする。
「どーせ昨日も
遅くまで起きてたんだろ?」
コーチは「そっか」と笑ってから
やれやれとしゃがんで
あたしの背中を押した。
「痛い痛い痛い!!」
容赦のない力に
思わず大きな声が出た。

