紙袋から、さっと取り出してさしだされた包み。

 

「はい、これ、佐藤。バレンタインのお返し」

「ありがとう、遼くん」



 恥ずかしげに微笑みながらも、受け取る私。

 うれしい。

 単純に、大好きな遼くんからのお返しをもらえてうれしい・・・が、あることに気がついてしまった。

 私は、彼が持っている紙袋をのぞきこむ。

 そこには、私が今、受け取ったのと同じ包みがたくさんはいっている。

 それに気がついて、遼くんが困ったように笑った。



「ごめんな。お返し、みんな、どれ選んでいいかわからなくてさ・・・とりあえず、みんな同じのにしてみたんだけど、だめかな?」

「う、ううん」


「しかし、佐藤もすごいなぁ・・・」



 遼くんが感心しながら、私が右手にもっている紙袋をのぞきこむ。