「それにしても、ふふふ、オレって、罪作りだな」



 悦に入って笑っている要の、背中を思いっきり、とび蹴りしたい。

 真剣に、そう思った。

 元女子高いったって、女の子大好きで気が多い要なんかに、彼女なんて天地がひっくり返ってもできるか!

 私がこぶしを握り締めて、ぷるぷるふるえてると、要がにこっとわらって、いった。



「というわけで、風呂掃除はよろしく。おれ、水仕事は手が荒れるからきらぁい!

 そうそうーーー晩御飯、ハンバーグだから。

 早く来ないと、おれがくっちゃうぞ」



 ひらひらと、手を振って出て行きかけた要が、ふと思い出したようにいった。



「まだ、ちょっとさきだけど、寂しいからって、おまえも、おれと同じ高校くるなよな!

 高校まで妹と一緒なんて、おれいやだ!」

「だれが、いくか!」



 閉まったドアに、ばんっと思いっきり、持っていたクッションを投げつけてやった。

 高校の志望は、第一志望、要と違うところ。で、遼くんと一緒のところがいい。

 どうか、どうか、遼くんの志望するところが、要と同じ高校ではありませんように。

 真剣に願ったりする。

 でも、とりあえず、今は、三年生になって、遼くんと同じクラスになれますように。

 お願いします、神様。



                 おまけ 完