くそ。私が遼くんが好きなことをしっている要。

 私がサッカー部に入部してきた時点ですぐに気がついたようだ。

 そんな理由がない限り、天敵である兄がいるサッカー部に入部するはずないとわかっているからだ。

 く、くやしい。

 少しでも、一矢むくいねば。

 くやしくて、夜も眠れない。



「ねぇ、要。そういえばねぇ、聞いちゃったんだけどうちのクラスにね、要のこと、すきだって子が」

「なにぃ!」



 私が最後まで言い終わる前に要が食いついてきた。

 

「オレのこと、好きな子ってだれ? だれ、だれ? 川野さん、岬さん、芝浦さん? それとも」



 ・・・なんで、うちのクラスの女子の名前しってるんだ、要・・・。
 


「教えてほしい?」

「う」

「教えてほしいなら、もう私をゆすらないこと」

「う、うう」



 迷ってる要。

 女の子大好き要。でも、一度に何人も追いかけすぎて、一度もまともに付き合ったことがない。

 いつも、要くんは私だけじゃなくて、その他大勢もすきなのね。とかなんとかいわれて、ふられている。

 ・・・友達のサッカーボールを抱きしめて、落ち込んでいる要を何度みたことか。ま、同情の余地なしだけど。