「だいたい、有里は顔は可愛いけど、性格は駄目だよなぁ。

 だから、女の子には嫌われるし、男の子には本命に見事逃げられるんだよ。

 駄目だなぁ」



 肩をすくめる要に、明確な殺意を覚えた私。

 だいたい、まだ、私は本命ーーー遼くんに振られたわけじゃない!

 

「うっさい、さっさと、その顔引っ込めて、でていけ!」



 地獄の底から響くような声をだしても、要はへこたれない。

 打たれても打たれても、くじけない、傷つかない、こんにゃく男だ。



「ほんと、有里は口が悪いよね。学校じゃ、ネコかぶってるみたいだしぃ。

 要先輩の妹、ほんと可愛いですよね、いまどき珍しいくらい女らしくってーーーなんていわれたりしたから、いっそ、後輩たちにおまえの、家での生態を話しちらしてやろうかなんて思ったりもするんだけどーーー駄目?」

「駄目にきまってる」

 

 だって、要は夏までサッカー部の主将をしていて、その後輩のなかには遼くんも含まれているのだ。



「じゃ、今日の風呂掃除はよろしくね?」



 く、くやしい。

 私が、こんな性格になってしまったのも、要みたいな兄を持ったからだ!