ホワイトデーから十日以上経過。

 ようやく私は意を決して、告白することに決めた。

 学校だと何かと邪魔が入りそうなので、春休み朝早くから、遼くんの家に向かっていた。

 調べによると社宅らしい。

 見えてきたその建物の入り口には、大きなトラックが止まっていた。



 引越し?

 そうか、三月の終わりは引越しの季節だ。



 人の出入りが激しい。

 つぎつぎと運び出されるダンボールや、家具、電化製品。

 今日はやめたほうがいいかもと、帰りかけて、気がついた人影。



 そして、思い出す。

 クラスの子がいっていた、遼くんの幼なじみ山本芽生が転校するのだということを。

 終業式の日、隣のクラスに女の子たちが何人かいっていた。

 それは彼女との別れを惜しんでいたからだろう。

 そのとき、私は思ったんだ。



 私がいなくなったら、だれか惜しんで、悲しんでくれるかなって。