私が遼くんを好きになったのはいつだろう?

 あの時かな?









 女子に嫌われやすい私。

 あれは一年の三学期。

 職員室にプリントの山を一人でとりに行っていた。

 当番のペアの子は、知らん顔だ。

 意地になった私は、一人で運び出した。

 一階から四階、重くて、疲れて、腕が震えだした私はプリントを廊下いっぱいに落としてしまったんだ。

 そのとき、偶然通りかかった、そのときは名前も知らなかった遼くんがすばやく拾ってくれて、教室まで運んでくれたんだ。



「大丈夫? 無理したらだめだよ」



 気遣うような優しい笑顔に、私は恋してしまったんだった。









 そんなことを思いながら、歩くアスファルトの道。

 街路樹の桜から花びらが舞い散っている。