『いいから、戻れ。』 先生はすぐに手を離してあたしを再び座らせた。 「何を聞きたいんですか?」 家族のことを先生に話すつもりなんてサラサラなかった。 先生だけじゃない、 ゆま以外の人には話したことがない。 家族 という言葉を聞いただけであたしは不機嫌になる。 あたしにはいい思い出がないから。 家族……両親がいないから。