食堂は人でごったがえしていて、僕は機嫌が悪くなった。

「透、なにたべる?」

「唐揚げマヨネーズ丼」

「またそれ?」

「あれが一番うまい」

「私うどんかラーメンか迷ってるんだけど、どっちがいいと思う?」

「美紀はうどんっぽいよ」

「そう?じゃあうどんにする」

彼女はいつも僕に選択を委ね、僕が選んだ方を決まって選択する。

従順だ。

それがつまらない。

そう思っていることを彼女に言わない僕は卑怯だ。

そう、僕は卑怯な人間だ。

そのことを確認しながら食堂のレジに並んでいると、美紀の前に並んでいた人が食堂のうどんコーナーのおばさんと何やら口論しているのが見てとれた。

なんなんだよあいつ、と思ったけど、久しぶりに食堂に来たら唐揚げマヨネーズ丼の値段があがっていて、そっちの方が気になった。