………。


……はい?


今のは、空耳でしょうか。

それとも、耳鳴り……?



「なんだ、ちゃんと謝れんじゃん」


「なんだとは何だ」


「いや……
あんた、絶対に謝らなさそうだから」


「………。
今回だけだ」


ルカ様。

ルカ様が、私に“悪かった”と。



変わりましたね、ルカ様。


これも、全てサラ様のおかげです。


サラ様。

毎日毎日ただ喧嘩しているようにお思いでしょうが、それがルカ様のよい教育になっているのですよ。


現に、喧嘩をなさっている時のルカ様のお顔、とても生き生きとされていますし。


ですが、サラ様。


ルカ様がサラ様に好意を寄せる度に、別れの時が近づいていることを、お忘れではないですか?


お二人が、お互いに気持ちに気づいた時。


それが、別れの時なのです。


お二人の涙など、私は見たくはありません。


ルカ様。

どうか、サラ様をお守りください。


悪魔と人間。


そんなちっぽけな壁、お二人の力でぶち壊して下さい。


幸せなお二人の表情を、ずっと見ていたいですから。


ずっとずっと、ルカ様の執事として。


そして


サラ様の執事として。


ずっとずっと――…





―End―