ルカ様にお仕えして、150年。
私なりに一生懸命、ルカ様のお世話をしてきました。
どんな我がままにも堪えてきました。
それを……
ひど過ぎます、ルカ様。
グスリ。
一人部屋の隅で鼻をすすった。
「でもさ、このルカの相手をするんだから、少し腹黒いくらいじゃなきゃ、堪えらんないって」
「“このルカ”とはなんだ。
王子と呼べ」
「おまえ……王子だったな。
忘れてた」
「貴様……
血を吸ってやる、こっちに来い」
「うわっ!?
来るなっ!!
また殴られたいのか!!!!」
また始まった喧嘩。
お二人とも、私の涙には気づいて下さらないのですね。
悲しい……
「シキっ!!!!」
「シキ」
私は、シュンとして顔を上げた。
「ビービー泣いてないで、早くコイツを止めてよ!!!!」
「ビービー泣いてないで、早くコイツを黙らせろ」
そんなに声を合わせて言わなくても。
それに、ビービー泣いてなんかいません。
シクシク泣いているんです。
「ルカ!!!
おまえ、いつも世話になってるシキに対して対応がひど過ぎるんじゃないか?」
「はっ?」
「見ろよ!!!
シキ泣いてんの、完全におまえのせいだろ!!
謝れ!!」
サラ様が、私を指差して言う。
よいのですよ、サラ様。
150年耐え抜いたのです。
今更、ルカ様とサラ様のダブル攻撃を受けたからといって、痛くもかゆくもございません。
「……悪かった」