「シキ」


ルカ様のベッドのシーツを取り替える為、真っ白なシーツを抱え廊下を歩いていたら、ルカ様に呼び止められた。


「いかがなさいましたか、ルカ様」


私は、シーツを両手に抱えながらルカ様を振り返った。


「腹がへった。
何か用意しろ」


「ルカ様、もう少ししたら夕食のお時間でございます。今召し上がると、夕食が入らなくなってしまいますよ?」


執事は、時に厳しくなければならない。


何でも許していては、ご主人様の成長によくないからだ。


特に、ルカ様には少々我慢するということを学ん――…


ガシ――ッ。


「腹が減った」


ルカ様は真顔で、私の胸倉を掴んだ。


本当に、このお方は……


「では、少しだけですよ?
すぐにシェフに用意させますので」


私が言うと


「今すぐ用意させろ。
腹が減りすぎて仕事に集中できん」


乱暴に私から手を離し、そのまま去って行った。


集中できないって……


それは空腹のせいではなくて、サラ様のせいではないんですか?


サラ様のことが気になり始めてるくせに、本当に素直じゃないんだから。