眉間にシワを寄せ、シキを睨みつけた。


「も、申し訳ございません……」


頭を下げ、背中を丸めるシキ。


「ずっとと言っているのではない。
少し、様子を見に行くだけだ」


「少しって……。
それでは、サラ様の記憶を消した意味がなくなってしまうではないですか」


俺は、支度の手を止めた。


鏡に映る、サラと同じ制服を着た自分。


見た目は、人間。

しかし、俺は悪魔。


半分は人間の血が流れているとは言え、人間のサラとはつくりが違う。


歳をとる速さも。

完治力も。


本来ならば、交わることなどできないのだ。


しかし――…



「残念ですが、サラ様の記憶は決して戻ることはございません。
ルカ様もそれはお分かりでしょう?」


「……ああ」


「サラ様に会っても、辛い思いをされるだけですよ」