サラが、俺の名を、呼んだ。 もう、抑えられなかった。 俺はサラの手首を掴み、人ごみを縫ってグングン進んだ。 ぎこちなく俺に着いてくるサラの動きが、手から伝わってくる。 「ちょ…痛いっ!! 急に何なんだよっ!! みんな見てんじゃん!!」 「気にするな」 「気にするなって!! ちょ、おいっ!! 止まれって!!」 もう、無理だ、サラ。 サラが俺の名を呼んだのだ。 今更、止められるわけがない。