初めてキスを交わしたあの日。


私は、人間界を離れ、フランと生きることを決めた。



と言っても、やっぱりフランは王族を抜けることができず、婚約者と結婚をしてしまったけれど。



気持ちは常に私に向いていたから。


誰よりも愛してくれていたから。


あの時、あきらめなくてよかったなって、心から思ってる。



フラン。


――フラン。


フラン。


幸せな日々を私に与えてくれて、本当にありがとう。



今も変わらず、あなたを愛しています。



『チヅル。
 愛してる』


『私もよ、フラン。
ああ、懐かしいことを思い出していたら、なんだか眠くなってきたわ。
そろそろ、休むわね。
おやすみなさい』


『ああ、おやすみ。
ゆっくり休め。思い出と共に、おまえはずっと俺の中で生きつづけるから。

いつかまた、おまえの声を聞かせてくれ』






―End―