体育の時間になった。


「あんた大丈夫なの?体育して」


香織が田村君に言った。


「あぁ…体育は好きだから…」

力無く答えた。


私はそれを見ることしか出来なかった。


「好きだからって…答えになってないよね。結衣」

「えっ?」


香織が私に言ってきた。


「……分かんない」


「何よそれ〜」

香織は笑いながら言った。


大丈夫かな…
本当はやらないほうがいいよ…

そう言いたかったけど…


最近田村君のことになると言いたいことの半分も言えなくなる…



心の中では、いっぱい言いたいこと思ってることがあるのに…


口に出すことが出来なくなる…



それがじれったくて…
どうしていいのか分からなくなる…


普通の友達だったら、聞けることも聞けない…


傘のことも…香織が私の立場だったら、すんなり聞けるかもしれない…


もし岡田君だったら、私はすぐに聞けるかもしれない…


でも…田村君になると…


今まで出来ていたことが出来なくなってしまう…


私は田村君が嫌い…?


ううん…


嫌いじゃない…