もういい…


その言葉が私の心を支配していた。


香織が話し掛けても私は空返事しか出来なかった…


そして放課後…


みんなが教室を出て行っている。


「もう結衣!!何があったの?気になるじゃん」


香織が私の体を揺する。


「えぇ…話したい気分じゃない…」


「もう…分かった!私がトイレに言ってる間に元気出して!」


そう言うと香織は教室を出た。


私はただ、ぼーっとしていた。


なんで私はこんな気持ちになっているのか分からなかった。


分からない…


「おいっ!田村!帰ろうぜっ」


ビクッ!


田村君…この教室にいたんだ!


私は恐る恐る後ろを見た。


田村君がチラッと私を見た。

…冷酷な視線…


そして視線を岡田君に移した。


「あっ。深田!じゃあ!」

岡田君が私に手を振る。


私は力無くそれに答える。


それを見もしない田村君…


私はなんだか沸々と怒りが込み上げてきた。


なんで私があいつに無視されなきゃいけないのよ…
なんで冷酷な目で見られなくちゃいけないのよ!


私は乱暴にバッグを掴むと、それを田村君に投げ付けた。


我ながら大胆なことをした。


びっくりした田村君が後ろを見た。


岡田君は気付いてなくそのまま進んでいた。


「田村く…田村のバカ!なんで私がビクビクしなくちゃいけないのよ!こっちだって…もう知らない!」


そう言うと私は逆の方向から帰ろうとした。