ほんとは出しちゃいけない声だけど…。


「私から羅威くんを取らないでください…。私、羅威くんがいないとダメなんです…」


ダメ…。


泣いたら私の負けだよ!


そう目を瞑って涙を堪える。


そしたら、後ろから抱きしめられた。


羅威くんだってすぐに分かった。


温かくて安心する、羅威くんの温もり。


「ってことだから、諦めて?」

「っ…」


先輩の顔を見ると、昨日と同じ切なそうな顔。


「ごめんな、俺が今愛してるのはこいつだから」


私は羅威くんに頭を撫でられる。


羅威くんの大きな手だ。


「っ…。分かったわよ!私を振ったこと後で絶対後悔するんだから!」


「それはないな」


「…?なんでよ?」


「俺が一番愛してる奴がこいつだから♪」


ドキンッ。


どうしよう…。


嬉しくて泣きそう…。


「ふふっ…。私もあなたなんかよりいい人を見つけるわ」


先輩はニコッと私に笑って図書室を出て行った。