「んー」

黒騎士さんは目を擦りながら欠伸をした。

それさえも絵から出てきたみたいだ。

「眠いなら寝れば?」

「起こされたんじゃん」

黒騎士さんは苦笑いしながらグラスにワインを注ぐ。

「あ、ごめんなさい。また寝れば?」

「なんか一生懸命俺に話しかけてるし、ほっときづらいじゃん。はい、どうぞ」

そう言ってあたしに機敏そうなグラスを渡す。

「ん…超おいしい」

「でしょ?ねぇ、何歳?」

「15歳」

あたしがそれを言うと、黒騎士さんは笑った。

「めっちゃガキじゃん。中学生?」

「高校生」

グラスに入ったワインを一気飲みしてから、嫌みっぽく言った。

「"ワイン好き"って、飲んだことあんの?せめてカクテルだって」

あんまり変わんないじゃんって思いながら

あたしは頷いた。