「ん…俺、べつに金に困ってないし」

「ひっ、起きてたの?」

あたしはびっくりして声が裏返った。

「……微妙」

黒騎士さんは、起き上がってあたしの横を通り過ぎる。

「酒飲める?」

棚から綺麗な紫のワインを取り出してきた。

「ワインは飲める」

「へぇ」

ワイングラスをあたしの前のテーブルに二つおいて、黒騎士さんはニコッて微笑む。

「'96年ものだから、上手いよ?きっと」

やっぱり、その辺の男とは比べ物になんないくらい

綺麗で上質なオーラを感じた。