「ねぇ、本当に何もしないんだ」

あたしは、正直どっかに売られると思った。

でもなんか、どうでもいっかって投げやりな気分で

着いてきたのに

本当に何もされないことにびっくりしてた。

返事はないけど

一人で喋り続けた。

「でも、あたし貢ぐお金なんかないんだから。お客にはなれないよ」

ぽつりぽつり聞こえる自分の声が

寂しげで孤独に一人、泣いているみたいに聞こえた。

「だから、売り飛ばした方がお金になるかもよ」

話しかけては、複雑な気持ちになった。

「ねぇ…黒騎士さん」

あたしがそう呟いたところで、眠そうな声が聞こえた。