「憂依(ユゥイ)
男だ」
いや見ればわかるよ。
それ自己紹介にいらないよ。
「憂依も俺等と同い年や。
さぁ最後に自分の紹介しぃや」
はっ!
あたしもしなくちゃいけないのか!
忘れてたよ!
ツッコミしてる場合じゃなかった!
「名前…、言わなくてもいい?」
「んなワケあるか」
憂依の強烈な言葉にあたしはノックアウト寸前だ。
ちょっとため息をついて、深呼吸。
「音寧々(ネネネ)。
紀憂 音寧々だ。
高羅と同い年で学校は地味な金持ち高校。
因みに面倒なことは嫌いです」
言い終わって視界に入ったのは、肩を震わせている灰。
「さっきから思っとったけど音寧々って!
そんな可愛いらしい名前なのに本人がコレかいな!
名前負けしとんやん!!!」
さっきの仕返しとばかりに爆笑している灰色頭。
だが自分もそう思っている為、反論は出来ない。
「あははははは!」
でもやっぱりムカつく。
のと同時に悲しい。
「だってしょうがないじゃん!
可愛くなれなかったんだもん!
だから…、名前教えなかったのに…」
唯一母さんと父さんが残してくれたものだったから、そうなれるよう頑張ったけど、無理だった。