音楽のボリュームが大きくて、頭が破裂しそうだった。

「自首して下さい」

わたしは等々力サンにお願いしてみた。

でもわたしの声は音楽に完全にかき消されている。

自分の声も聞こえないほどの音楽。

会話も許されないまま、車は倉庫の前で止まった。
車が止まり、ようやく騒音から解放された。

頭がガンガンする。

「何のマネですか」

雪沢クンが等々力センパイに尋ねた。

「安土のバカが、俺にタイマンだとよ」

センパイは、本当に安土クンをバカにしたような顔をした。

「いつですか? やめてもらえませんか? 安土には俺からよく言っておきます。許してやって下さい」

「許すも何も、安土のほうから言って来たンだぜ」

「でも許してあげて。お願い」

わたしも頭を下げた。

頭を下げて許されるものなら、わたしは地面に頭をつけたっていい。
それくらいの覚悟はできている。