「……人を斬ったのは、あれが初めてだった」 「どうでした?」 やっぱ骨まで裁つのは、難しいですか。 「難しいな」 無表情で答えた加藤を見る。 「そんだけですか」 もう、帰りたいんですけど。 もう、帰って、泣きたいんですけど。 「……俺を斬れ。生命」 差し出されたのは、紫の竹刀袋。 紐を解けば、黒い漆塗りの鞘に納められた、真剣が現れた。 「お前の父親を斬ったこの刀で、俺を解放してくれ。お前が罪に問われる事はない。…遺書はある」 無表情からは、何も読み取れず、俺は重い鞘を握っていた。