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翌日のことだ。
一年の教室がある西校舎の一階は、なぜか朝から賑わっていた。

いや、恐らく西校舎だけでなく、校内全域がそうだったのだろう。

直姫が校舎に入ると、玄関のそばにある掲示板の前に人だかりができていた。
なにが起きているのか気になった直姫は、近くに立つ適当な生徒に話しかける。


「おはよう」
「あら、おはようございます、西林寺くん」


振り返ったツインテールの少女の顔を見ると、同じクラスの女子生徒だった。
同じクラスだということはわかるのだが、人の顔と名前を覚えるのがとことん苦手な直姫には、彼女の名前はわからない。


(夏生先輩、全校生徒どころか用務員さんから庭師さんまで全部覚えてるって言ってたっけ……)


彼の驚異的な記憶力に驚くべきか、それがカリスマ性の所以の一つなのだと感心するべきか。
でもいまいち尊敬しきれないんだよな、なんて失礼なことを考えながら、直姫は尋ねた。