とりあえず自分の部屋に戻って着替えをしてから母屋に向かう。

居間に行くと彩名さんがいた。

「おはようございます。寝坊しました」

「おはよう志鶴ちゃん。圭吾が、疲れているようだから寝かせておいてと言っていたから
起こさなかったの」

あ……それって意味深に聞こえる

和子さんが顔を出して『何か軽いものをお持ちします』と言った笑顔も愛想良すぎて逆にコワイ。

「伯母さまは?」

「お祭りの用事で圭吾と一緒に出かけたわ。わたし達も後で行ってみましょ。圭吾が平安貴族のような衣装を着ているのが見られてよ。姉のわたしが言うのもなんだけれど素敵なの。
毎年、この後にお見合い写真が増えるのよね」

「今年は志鶴様がいらっしゃいますからそれもなくなりますね」

サンドイッチを持って来てくれた和子さんが言う。

「花嫁衣装の用意を始めた方がよろしゅうございましょうか?」

やっぱり、みんな昨日圭吾さんと何かがあったと思ってる?

「えーと、まだ気が早いかなぁ」

「あら残念」と彩名さん。

「今朝は圭吾の機嫌がとてもよかったから期待してたのに。いつもは志鶴ちゃんが起きて来るまでものすごい仏頂面なのよ」


ああ……プレッシャー感じる

でも圭吾さんの機嫌がよかったってことは、そんなにわたし悩むことないのかな。

ゆっくり進めてってお願いすれば、圭吾さんは分かってくれる?


うん


きっと圭吾さんは分かってくれる。


手をつなぐところから始めてもらおう。

そしていつかきっと二人っきりでキスするの。


龍たちが帰るあの裏庭で