途中で何度か友達とすれ違い、手を振って挨拶をした。

「わたしには圭吾さんがいるからいいの」

「ん? 何?」

「ほら、みんな家族や彼氏と歩いてるでしょ? 今日は圭吾さんと一緒でよかったなって」

「僕も志鶴と一緒でよかったよ」

圭吾さんはさっきすれ違った優月さんと校長の事を思っているのかもしれない。

露店の明かりに照らされた優月さんはホントに綺麗だった

「志鶴が望めばずっとこうしていられるよ」

圭吾さんは冗談めかして言うけれど、圭吾さんは今でもあの人が好きなんじゃないのかな。

優月さんとのことを乗り越えるためにわたしを必要以上に可愛がっている気がする。

圭吾さんがわたしを必要だって言ってくれるのはいつまでだろう。

「ずっと妹でいたい」

思わず言葉がこぼれた。

「だめだよ」圭吾さんは目を伏せた。「妹だったら誰かにとられてしまう」

「どこにも行かない。誰も好きになったりしない」

「そう? だったら志鶴は僕のものだね?」

あれ? どうしてそうなる?

しまった! 圭吾さんの方が何枚も上手だって事忘れてた。

「えーと……圭吾さんのものってわけじゃないと思う」

「じゃあ誰のもの?」

「誰のものでもない……よ」

「誰のものでもないなら、僕のものにしてしまって何が悪い?」

「えーと……」

「志鶴」

「はい?」

「悪あがきはやめなさい。ますます墓穴を掘るぞ」


完敗

圭吾さんが逃がしてくれるうちに退却した方がいいみたい