その後の大人の闘龍でわたしとユキは完走するのがやっとで、優勝は竜田川美月と彼女の赤龍だった。

負けたのはかなり悔しいけど、確かに美月はすごかった。

「おめでとう」

って、片手を差し出すと美月はニッコリ笑って握手してくれた。

「三田先輩も初めてにしては悪くなかったですよ。面白かったでしょ? 来年もやりましょうよ」

「やる。次は勝つからね」

「無理じゃない? 来年からはオレも参加だから」

生意気そうな声がした。

龍師装束の男の子が腕を組みながら立っている。

背はまだちょっと低いけど、なかなかの美少年。


「大ちゃん! おめでとう。すごい試合だったね」

美月が男の子に抱きついた。

「美月がいないんだもの大したことねぇよ。来年こそはオレが勝つから」


ああ、この子がさっきの闘龍の子供の部の優勝者か。

やっぱり羽竜の血筋って美形ぞろいなんだな。

美月と並ぶと陶器の人形みたい。


「あれ? あんた本家に来てるお姫さんじゃないの?」

「お姫さんじゃないけど、羽竜本家の居候よ」

と、小生意気なガキに答える。

「美月ぃ、目の敵にしてたのに何仲良くなってんだよ!」

「だって、お姉ちゃんと圭吾さんが別れたのってこの人のせいじゃなかったの」

「だけど、こいつ圭吾と結婚するんだろ? いいのかよ。圭吾のこと好きなんじゃないのか?」


えーと、結婚するって決まった訳じゃないんだけど

さらに言えば、失恋で支えてくれる年下の男の子が必要なのは美月の方だったわけ?


「なに誤解してんのよっ!」

美月が怒った。

「わたしはお姉ちゃんと圭吾さんのカップルが好きなのよ。わたしは同じ年で、イケメンで、ちょっと強引で、わたしにベタ惚れな彼氏が理想なんだから!」


美月……『同じ年』を取れば目の前に理想の彼氏立ってるけど


余計なお世話か